IPIP(アイピーアイピー)とは、IPの通信を、別のIPの通信の中に丸ごと包み込んで運ぶ方式のことです。「IP in IP」とも呼ばれ、日本ではIPv6回線の上で固定のIPv4アドレスを使うための接続方式として、この名前を目にすることが多くなっています。
現実世界に例えると、IPIPは封筒をさらに大きな封筒に入れて送ることのようなものです。中の封筒の宛名はそのまま残し、外側に別の宛名を書いて運びます。届いた先で外側を開ければ、元の封筒が取り出せます。
IPv4をIPv6で運ぶ方式の比較
| 方式 | IPv4アドレス | ポート開放 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| IPIP | 固定で専有 | 制限なし | サーバー公開、拠点接続 |
| DS-Lite | 複数人で共有 | できない | 一般の家庭 |
| MAP-E | 複数人で共有 | 範囲が限られる | 一般の家庭 |
包んで運ぶだけの単純な仕組み
方式の骨格です。送りたい通信の頭に、もう一つ別のIPの宛先情報を付け足し、その外側の宛先を頼りに運びます。途中の機器は外側だけを見て転送し、出口の装置が外側を外して中身を送り出します。暗号化などの処理は含まれない、きわめて単純な作りです。
トンネルという考え方
こうした運び方の総称です。ある種類の通信を、別の種類のネットワークの中を通して向こう側へ届ける仕組みは「トンネル」と呼ばれます。IPIPはそのうち最も基本的なもので、特別な認証や手順を挟まず、包んで運ぶことだけに役割を絞っています。
IPv6回線でIPv4を使うために
日本で名前を見かける理由です。混雑しにくいIPv6の接続方式が広まった一方で、IPv4にしか対応していないサイトもまだ多く残っています。そこで、IPv4の通信をIPv6の中に包んで事業者の装置まで運び、そこから先をIPv4で送り出す、という形でIPIPが使われています。
固定のIPv4アドレスが持てる
他の方式との最大の違いです。一つのアドレスを複数の利用者で分け合う方式と違い、IPIP方式では自分専用のIPv4アドレスが固定で割り当てられます。使えるポート番号にも制限がないため、外部から直接接続してもらう必要がある場面で選ばれます。
サーバーの公開や拠点間の接続に向く
向いている用途を挙げます。自宅や事務所に置いたサーバーを公開する、離れた拠点同士をつなぐ、特定のアドレスからの接続だけを受け付ける相手先とやり取りする、といった用途です。一般の閲覧だけであれば、アドレスを共有する方式で十分に足ります。
対応したルーターが必要になる
導入時の前提です。家庭向けの一般的なルーターでは設定項目がないことが多く、業務用の機種や、対応を明記した機種を用意する必要があります。事業者から渡される接続先の情報を設定画面に入力する形で、固定のアドレスとあわせて設定します。
暗号化はされない
最後に注意点です。IPIPは包んで運ぶだけで、中身を隠す仕組みは持っていません。事業者の網の中を通る部分では実用上の問題になりにくいものの、インターネットを越えて拠点をつなぐ用途に使う場合は、IPsecのような暗号化の仕組みを組み合わせるのが一般的です。

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