BSD(Berkeley Software Distribution)

BSD(Berkeley Software Distribution)とは、米国のカリフォルニア大学バークレー校で、UNIXをもとに改良を重ねて作られ、配布されたOSの系統のことです。現在はFreeBSDやNetBSD、OpenBSDといった後継のOSが開発を続けており、その成果はmacOSなど、身近な製品の中にも受け継がれています。

現実世界に例えると、BSDは老舗の料理店で修業した弟子たちが、それぞれ自分の店を開いて味を受け継いでいる一門のようなものです。店ごとに得意な料理は違っても、根っこには同じ師匠の技があります。

大学で生まれたUNIX

始まりの話です。1970年代の後半、バークレー校の研究者たちは、AT&Tのベル研究所で生まれたUNIXに独自の改良を加え、追加のソフトウェアとして配布し始めました。やがてOS全体を含む形で配布されるようになり、大学や研究機関を中心に広く使われるUNIXの代表的な系統へと育ちました。

インターネットの土台を築いた

歴史的な功績です。1983年に公開された版には、インターネットの通信方式であるTCP/IPの機能が組み込まれ、プログラムから通信を扱うための「ソケット」という仕組みも用意されました。この仕組みは多くのOSに受け継がれ、現在のネットワークプログラムの基本的な書き方として今も使われています。

後継のOSたち

現在の主な系統です。大学での開発が終わったあと、その成果を引き継ぐ形でいくつものOSが生まれ、目的に応じた特色を持って開発が続いています。

名前 特色 主な使われ方
FreeBSD 性能と安定性を重視し、もっとも広く使われる サーバー、ネットワーク機器
NetBSD さまざまな種類の機械で動くことを重視 組み込み機器、研究
OpenBSD セキュリティを最優先に開発 ファイアウォール

身近な製品にも受け継がれている

知らずに使っている例です。AppleのmacOSやiOSの土台となる部分には、FreeBSDなどから取り入れた技術が多く使われています。また、家庭用ゲーム機やネットワーク機器の中にも、BSD系のOSを土台にしたものがあります。目立たないところで、多くの人がBSDの成果に触れています。

自由度の高いライセンス

広く使われる理由です。BSDのソフトウェアは「BSDライセンス」という条件で配布されており、著作権の表示さえ残せば、改変した結果を公開しなくても製品に組み込めます。企業が自社の製品に取り入れやすいため、商用の製品に広く使われることにつながりました。

Linuxとの違い

よく比べられるOSです。Linuxはカーネルと呼ばれる中心部分だけを指し、ほかの部品と組み合わせて配布されるのに対し、BSD系のOSは中心部分から基本的な道具までを、ひとつのまとまりとして開発しています。また、Linuxが改変の公開を求めるGPLで配布されているのに対し、BSDは制約の少ないライセンスである点も異なります。

著作権を巡る争い

歴史の転機です。1990年代の初めには、UNIXの権利を持つ会社との間で、BSDにUNIXの著作物が含まれているかを巡る訴訟が起こりました。決着までの間、BSDの利用には不安がつきまとい、同じころに登場したLinuxが勢いを伸ばす一因になったともいわれています。和解後、問題の部分を取り除いた版が公開されました。

マスコットの悪魔

親しまれている顔です。BSDのマスコットは、赤い体に角と三つまたの槍を持った、かわいらしい悪魔のキャラクターです。これは、裏で動き続けるプログラムを指す「デーモン」という言葉にちなんだもので、UNIXの世界ならではの遊び心が表れています。

あわせて知っておきたい用語

  • UNIX:
    1970年代に生まれ、多くのOSの手本となった歴史あるOSです。
  • Linux:
    UNIXを手本に作られた、オープンソースのOSです。
  • BSDライセンス:
    改変の公開を求めない、制約の少ないオープンソースのライセンスです。
  • デーモン:
    利用者の操作と関係なく、裏で動き続けるプログラムです。

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