IC(集積回路)

IC(集積回路)とは、トランジスタや抵抗といった多数の電子部品を、一枚の小さな基板の上にまとめて作り込んだ回路のことです。英語の「Integrated Circuit」の頭文字を取った呼び名で、現在のあらゆる電子機器の中核を担っています。

現実世界に例えると、ICは部品を一つずつ配線していた工作を、印刷の技術で一気に刷り上げる発想のようなものです。手作業で何千本もの線をつなぐ代わりに、回路まるごとを一度に写し取るため、小さく、速く、安く作れるようになりました。

集積の度合いによる呼び分け

区分 素子の数の目安 主な時代と用途
SSI 数個から数十個 1960年代。単純な論理回路
MSI 数百個 カウンターなどの部品
LSI 数千から数万個 1970年代。電卓や初期のCPU
VLSI 数十万個以上 1980年代以降。現在のCPU

ばらばらの部品を一つにまとめた

ICが生まれる前の状況を知ると意義が見えてきます。かつての電子回路は、トランジスタや抵抗を一つずつ基板に取り付け、はんだで配線して組み立てていました。部品が増えるほど配線の数も膨らみ、接続不良が起きやすく、機械そのものも大きく重くなっていくという限界に突き当たっていました。

1950年代末に二人が独立して発明した

成り立ちの話です。1958年にテキサス・インスツルメンツのジャック・キルビーが、翌年にフェアチャイルドのロバート・ノイスが、それぞれ別々に集積回路の考え方を形にしました。キルビーはこの功績によって2000年にノーベル物理学賞を受けています。二人の発明が、その後の電子産業の出発点になりました。

配線を短くできることが速さにつながる

性能面での利点です。部品同士の距離が極めて短くなるため、信号が行き来する時間が縮み、処理の速さが大きく向上します。同時に、動かすのに必要な電力も小さくなります。まとめることは、単に小さくするだけでなく、性能そのものを引き上げる効果をもたらしました。

ICとLSIという呼び名

言葉の使い分けにも触れておきます。日本では、集積度の高いものを指して「LSI」と呼ぶ習慣が長く定着しており、ICとLSIがほぼ同じ意味で使われる場面も少なくありません。現在の製品はほぼすべてがLSIの水準を大きく超えているため、区分の呼び名は歴史的な意味合いが強くなっています。

アナログとデジタルがある

働きによる分け方です。0と1を扱って計算や記憶を担うデジタルICと、音や電圧のように連続した量をそのまま扱うアナログICがあります。CPUやメモリは前者、音声の増幅や電源の制御は後者の代表例です。一つの機器の中には、両方が組み合わさって使われています。

外側の形にも種類がある

実装の面での話です。作り込んだ回路は、保護のための外殻に収められて基板へ取り付けられ、この外殻は「パッケージ」と呼ばれます。足が両側に並ぶ昔ながらの形から、底面に小さな球状の端子を敷き詰めた形まであり、端子の数や大きさに応じて使い分けられています。

身の回りのほぼすべてに入っている

最後に広がりを押さえておきます。パソコンやスマートフォンだけでなく、炊飯器、エアコン、自動車、交通系のカードに至るまで、ICが入っていない電子機器はほとんど見当たりません。一枚の小さな部品の中に、かつては部屋いっぱいを占めた計算機以上の働きが収められています。

あわせて知っておきたい用語

  • チップ:
    半導体の回路を一つの部品にまとめたものです。
  • トランジスタ:
    電気の流れを増幅したり切り替えたりする部品です。
  • 半導体:
    電気を通す性質を制御できる材料と、その部品です。
  • CPU:
    コンピューターの計算と制御を担う中心の部品です。

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