コールドスタンバイ(Cold Standby)とは、予備の機器を止めたまま保管しておき、障害が起きてから起動して引き継がせる備え方のことです。三つある待機の方式のうちもっとも費用が安く、そのかわり復旧までに時間がかかります。
現実世界に例えると、コールドスタンバイは車のトランクに積んだスペアタイヤのようなものです。普段は空気も入れずに眠っていますが、パンクしたときには取り出して取り付けられます。走り出すまでに手間はかかっても、備えが無いのとは大違いです。
コールドスタンバイ図解
復旧までの作業の流れ
| 順序 | 作業 | 注意すること |
|---|---|---|
| 1 | 予備機を設置して起動 | 置き場所と電源の確保 |
| 2 | OSと更新の適用 | 長く眠っていた機器ほど時間がかかる |
| 3 | ソフトの導入と設定 | 手順書が最新かどうか |
| 4 | バックアップから復元 | 直近の更新は失われる |
費用を抑えられるのが最大の利点
選ばれる理由ははっきりしています。予備機は電源を入れていないため電気代がかからず、ソフトの使用料も稼働している台数ぶんだけで済む場合があります。機器そのものの購入費は必要ですが、動かし続けるホットスタンバイと比べれば、維持にかかる負担は大きく下がります。
切り替えは人の手で行う
自動化されていない点が性質を決めています。異常に気付いた担当者が、予備機を運び出し、電源を入れ、設定を入れ直して、データを戻すという一連の作業を順に進めます。夜間や休日に障害が起きた場合、担当者が駆け付けるまでの時間もそのまま停止時間に加わります。
データはバックアップ頼みになる
失うものを正しく見積もる必要があります。予備機には最新の内容が入っていないため、戻せるのは最後に取ったバックアップの時点までです。前日の夜に取っている運用であれば、障害の直前までの一日ぶんの更新は失われます。この幅を許せるかどうかが、採用の分かれ目になります。
向いている用途
適した場面を挙げます。社内向けの資料置き場、月次でしか使わない集計用の環境、止まっても業務を手作業で回せる仕組みなど、数時間から数日の停止を許容できるものが対象です。逆に、止まった瞬間に売上や安全へ響く業務には、この方式は選べません。
予備機が動かない落とし穴
もっとも多い失敗がこれです。何年も倉庫に眠らせていた機器は、いざ電源を入れると起動しない、部品が劣化している、ということが珍しくありません。定期的に通電して動作を確かめ、記録に残しておかないと、備えていたつもりだけが残ってしまいます。
手順書が古びていないか
機器と同じくらい重要な点です。設定の手順を書いた資料が数年前のまま更新されていないと、復旧の途中で食い違いが出て、想定よりはるかに時間がかかります。本番側に変更を加えたときは、復旧手順にも同じ変更を反映させる決まりにしておくと、ずれを防げます。
クラウドでは形が変わる
近年は選択肢が広がっています。クラウドであれば機器を眠らせておく必要がなく、必要になった時点で同じ構成を作り直すという形で同じ考え方を実現できます。設定を手順として残しておけば、構築にかかる時間そのものを大きく短縮でき、保管の手間も不要になります。



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