ネットワークループ(Network Loop)とは、ケーブルのつなぎ方によって通信の経路が輪になってしまい、同じデータが延々と回り続ける状態のことです。一度起きると通信全体が止まってしまうため、社内ネットワークでもっとも恐れられる障害のひとつです。
現実世界に例えると、ネットワークループは出口のない環状の廊下のようなものです。配りものを持った人が同じ道をぐるぐる回り続け、しかも回るたびに人数が増えていきます。やがて廊下は人であふれ、誰も通れなくなります。
ネットワークループ図解
正常なときとの違い
| 項目 | 正常なとき | ループが起きたとき |
|---|---|---|
| 通信の流れ | 目的地へ一度だけ届く | 同じ経路を回り続ける |
| 機器のランプ | 必要なときに点滅 | 激しく点滅し続ける |
| 通信の速さ | 普通 | 極端に遅いか不通 |
| 影響の範囲 | その機器だけ | つながる全体 |
なぜ通信が止まるのか
直接の引き金は、宛先を特定せず全員に配る種類の通信です。これが輪になった経路に入ると出口を失い、回るたびに複製されて数が増えていきます。この雪だるま式の増加は「ブロードキャストストーム」と呼ばれ、わずか数秒で回線が埋め尽くされ、正規の通信が通れなくなります。
どうやって起きるのか
原因のほとんどは配線です。スイッチの空きポートに、同じスイッチから出たケーブルを差し戻してしまう。二台のスイッチを二本のケーブルでつないでしまう。使っていないケーブルを「とりあえず」挿しておく。悪意のない作業が引き金になることが多いのが、この障害の厄介なところです。
起きたときの症状
症状は分かりやすい形で出ます。特定のパソコンだけでなく、そのネットワークにつながる機器がいっせいに通信できなくなり、スイッチのランプが全ポートで異常なほど速く点滅します。「急に全員つながらなくなった」という訴えが同時に上がったときは、まずこれを疑ってください。
どう見つけるか
切り分けは物理的に行います。怪しいケーブルを一本ずつ抜いていき、抜いた瞬間に通信が回復すれば、そのケーブルが原因です。ランプの点き方を見て、異常に激しいポートから当たるのが早道になります。管理機能を備えたスイッチであれば、記録から場所を特定できることもあります。
スパニングツリーという歯止め
そもそも起こさないための仕組みもあります。スイッチ同士が経路の情報を交換し、輪になる部分のポートをあらかじめ塞いでおく「スパニングツリー」です。塞いだ経路は、正規の経路が切れたときの控えとして自動で開きます。業務用のスイッチには標準的に備わっています。
ループ検知という機能
もう少し手軽な備えもあります。スイッチが自分で確認用の信号を出し、それが自分に戻ってきたらループと判断して、そのポートを自動で塞ぐ機能です。近年は安価な製品にも載るようになりました。人が気づく前に被害を止められるため、末端の拠点では特に有効です。
起こさないための心がけ
運用でできることもあります。使わないケーブルは抜いておく、配線したら両端がどこにつながるか記録する、空きポートに何かを挿す前に必ず反対側を確かめる。地味ですが、事故の大半はこの三つで防げます。とりわけ「とりあえず挿す」は避けてください。



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