エクスペリエンス(Experience)とは、英語で「体験」や「経験」を意味する言葉で、ITやビジネスの分野では、人が製品やサービス、組織と関わる中で感じる体験全体を指して使われます。「ユーザーエクスペリエンス(UX)」のように、誰の体験かを表す言葉と組み合わせて使われることがほとんどです。
現実世界に例えると、エクスペリエンスはレストランで、料理の味だけでなく、予約のしやすさ、店員の対応、店の雰囲気、帰り道の気分まで含めた「その日の食事の思い出」全体のようなものです。どこか一つが悪いだけで、全体の印象が大きく変わってしまいます。
エクスペリエンス図解
「機能」から「体験」へ
注目されるようになった背景です。製品の機能や価格では他社と差がつきにくくなる中で、「使っていて気持ちがよいか」「また使いたくなるか」という体験そのものが、選ばれる理由として重視されるようになりました。モノを売るだけでなく、体験を設計して届けるという考え方が、ITの分野にも広がっています。
主な「〇〇エクスペリエンス」
よく使われる組み合わせです。誰の体験に注目するかによって、いくつもの言葉が使い分けられています。
| 言葉 | 誰の体験か | 例 |
|---|---|---|
| UX(ユーザーエクスペリエンス) | 製品やサービスの利用者 | アプリの使いやすさ |
| CX(カスタマーエクスペリエンス) | 顧客 | 購入前後のやり取り全体 |
| EX(エンプロイーエクスペリエンス) | 従業員 | 働きやすさ、職場の環境 |
| DX(デベロッパーエクスペリエンス) | 開発者 | 開発の道具の使いやすさ |
UXとCXの違い
混同しやすい2つです。UXは、アプリやWebサイトなど、特定の製品を使っている場面での体験を指すことが多い言葉です。一方のCXは、広告で知り、購入し、問い合わせ、使い続けるまでの、企業とのあらゆる接点を含む体験を指します。UXはCXの一部と考えると整理しやすくなります。
従業員の体験も大切に
社内に目を向けた考え方です。EXは、入社から日々の業務、評価、退職までの、従業員が会社で経験すること全体を指します。使いにくい社内システムや手間の多い手続きは、従業員の不満や離職につながります。働く人の体験をよくすることが、結果として顧客への対応の質も高めると考えられています。
DXという略語に注意
紛らわしい点です。開発者の体験を指す「デベロッパーエクスペリエンス」もDXと略されますが、日本では「デジタルトランスフォーメーション」の略として使われることのほうが圧倒的に多くあります。開発者向けの記事や話題で見かけたときは、どちらの意味かを文脈で見分ける必要があります。
体験を測る方法
よくなったかを確かめる手段です。体験は目に見えないため、利用者へのアンケートや、操作の様子の観察、利用の記録の分析などを組み合わせて評価します。「この製品を人に勧めたいか」を尋ねて点数にする方法は広く使われており、従業員向けにも同じ考え方の調査が行われています。
体験を設計する
よい体験を作るための進め方です。利用者がどのような流れで製品やサービスと関わるのかを、時間の順に書き出して整理する方法がよく使われます。それぞれの場面で利用者が何を感じ、どこで困るのかを洗い出すことで、改善すべき点が見えてきます。作る側の思い込みではなく、実際の利用者の声をもとにすることが大切です。
ITとの深い関わり
ITの役割です。アプリの操作の分かりやすさ、表示の速さ、問い合わせへの返事の早さなど、現在の体験の多くはITの仕組みによって支えられています。逆に、システムの不具合や使いにくさは、そのまま体験の悪化につながります。エクスペリエンスを高めることは、ITを作る側にとっても大きな目標になっています。



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