ダークパターン(Dark Pattern)とは、利用者が意図しない選択をするように、わざと仕向けて作られた画面の設計のことです。嘘は書かれていないのに、気付いたら申し込んでいた、解約できなかった、という結果を招くところに特徴があります。
現実世界に例えると、ダークパターンは出口の分かりにくい店内の通路のようなものです。閉じ込めているわけではないのに、帰ろうとすると遠回りをさせられます。設計した側の都合が、案内の形をとって紛れ込んでいる状態です。
ダークパターン図解
よく見かける手口
| 呼び名 | やり方 | 起きること |
|---|---|---|
| こっそり追加 | 任意の商品を初めから選択済みにする | 気付かず一緒に購入する |
| ゴキブリホイホイ | 入るのは簡単、出るのは難しくする | 解約をあきらめる |
| 羞恥心の利用 | 断る側の文言を後ろめたく書く | 断りにくくなる |
| 偽の緊急性 | 残りわずかと繰り返し示す | 比べずに決めてしまう |
なぜ生まれてしまうのか
多くは悪意というより、数字への圧力から生まれます。申し込み率や継続率といった目標だけを追いかけると、「押させる」方向の改良が積み重なっていくためです。一つひとつの変更は小さくても、何度も繰り返されるうちに、利用者の意思を押しのける画面ができあがってしまいます。
ボタンの見た目で誘導する
もっとも身近な形です。同意するボタンは大きく色鮮やかに、断るボタンは小さな灰色の文字にして、視線が自然と片方へ向くように作られています。両方の選択肢があるので形の上では公平ですが、急いでいる人はまず目立つほうを押します。押し間違いを狙った配置といえます。
解約の道のりを長くする
とくに問題視されているのがこれです。申し込みは数回の操作で終わるのに、解約だけは電話でしか受け付けない、手順が何段階も続く、といった非対称が作られます。途中で引き止めの画面を挟み、目的の項目を見つけにくい場所へ置くのも、よく使われるやり方です。
同意画面に紛れ込む
クッキーの同意を求める表示にも多く見られます。「すべて許可」は一回で押せるのに、必要最小限にするには詳細設定を開いて個別に外さなければならない、という作りです。欧州ではこの非対称が違反とされ、拒否も一回で済むように改められた事例が積み重なっています。
規制の動きが強まっている
法律の面でも手が入り始めました。日本では改正特定商取引法により、申し込み確認画面での分かりにくい表示が規制され、解約の妨害も問題とされています。欧州のデジタルサービス法や、米国の一部の州法でも、ダークパターンを名指しで禁じる条文が置かれるようになりました。
事業者にとっても損になる
短期の数字は上がっても、続きません。押し切られて申し込んだ利用者は、不信を抱いたまま早々に離れていき、返金の要求や消費者相談につながることも少なくありません。SNSで手口が共有されれば、評判そのものが傷つきます。得られる利益に比べて、失うものが大きい設計です。
気付くための見方
身を守る手立てもあります。「はい」を押す前に、断る側の選択肢がどこにあるかを探す癖をつけると、不自然な配置に気付きやすくなります。無料期間付きの申し込みでは、その場で解約の手順を確認しておきます。急かす表示が出たときほど、いったん手を止めるのが確実です。



コメント