ALAC(Apple Lossless Audio Codec)

ALAC(Apple Lossless Audio Codec)とは、Appleが開発した、音質をまったく落とさずに音声のデータを小さくできる圧縮の方式のことです。「Apple Lossless(アップル・ロスレス)」とも呼ばれます。iPhoneやMacで標準的に扱えるため、Appleの機器で高音質の音楽を楽しむときに広く使われています。

現実世界に例えると、ALACは布団を圧縮袋に入れて小さくしまうことのようなものです。しまっている間は場所をとりませんが、袋から出せば、元どおりのふかふかの布団に戻ります。

音質を落とさない圧縮

最大の特徴です。ALACは「可逆圧縮」と呼ばれる方式で、圧縮したデータを元に戻すと、圧縮する前とまったく同じデータになります。MP3やAACのように、聞こえにくい音を削ってデータを小さくする方式とは違い、音の情報を一つも捨てません。そのため、音楽CDと同じ音質や、それ以上のハイレゾの音質を保ったまま保存できます。

どれくらい小さくなるか

容量の話です。ALACで圧縮すると、圧縮しないWAVの形式と比べて、ファイルの大きさはおよそ半分から6割程度になります。音質を一切落とさずに、保存に必要な容量を大きく減らせます。ただし、音を削って小さくするAACなどと比べると、数倍の大きさになります。曲の内容によって、どれだけ小さくなるかは変わります。

ほかの音声形式との比較

よく比べられる形式です。ALACは、同じく音質を落とさないFLACと、性能の面ではほぼ同じ位置づけです。

形式 音質 得意な環境
ALAC 元の音質のまま iPhone、Mac
FLAC 元の音質のまま Android、多くのオーディオ機器
AAC わずかに削られる ほぼすべての機器

生まれた背景

成り立ちの話です。ALACは、2004年にAppleの音楽ソフト「iTunes」の機能として登場しました。当時、音質を落とさない形式としてはFLACが知られていましたが、iPodやiTunesでは使えませんでした。そこでAppleは、自社の機器で音質を保ったまま音楽を楽しめるよう、独自の方式を作りました。2011年には仕様が公開され、誰でも無料で使えるようになりました。

M4Aのファイルに収められる

ファイルの形の話です。ALACで圧縮した音声は、多くの場合「.m4a」という拡張子のファイルとして保存されます。これは、音を削るAACで圧縮した音声と同じ拡張子です。そのため、拡張子だけでは、中身が音質を保ったALACなのか、少し音を削ったAACなのかは区別できません。音楽ソフトのファイルの情報で、形式を確かめることができます。

Apple Musicのロスレス配信

身近な使われ方です。Appleの音楽の定額配信サービス「Apple Music」では、2021年から、ALACを使ったロスレスの音質での配信が始まりました。追加の料金なしで、CDと同じ品質や、最大で192kHz、24ビットのハイレゾの音質で聴くことができます。ただし、Bluetoothのワイヤレスイヤホンでは、通信の途中で音を削る方式が使われるため、本来の音質のまま聴くことはできません。

CDの取り込みに使う

実際の使い方です。Macの「ミュージック」アプリや、WindowsのiTunesでCDを取り込むとき、形式に「Apple Lossless」を選べば、CDの音質をそのままに保存できます。手持ちのCDを高い音質のまま、iPhoneなどに入れて持ち歩けます。容量の大きいファイルになるため、保存する機器の空き容量には余裕を持たせておきましょう。

ほかの形式への変換

使い分けの工夫です。ALACとFLACは、どちらも音質を落とさない形式のため、互いに変換しても音質は変わりません。Appleの機器ではALAC、それ以外の機器ではFLACと、使う機器に合わせて変換すれば、音質を保ったまま幅広い環境で楽しめます。一方、AACやMP3に変換すると音が削られ、元のALACには戻せないため、元のファイルは残しておくと安心です。

あわせて知っておきたい用語

  • 可逆圧縮:
    圧縮したデータを、元とまったく同じ状態に戻せる圧縮の方式です。
  • FLAC:
    音質を損なわずに、音声のデータを小さくできるファイル形式です。
  • M4A:
    MP4と同じ仕組みで、音声だけを収めたファイル形式です。
  • AAC:
    MP3の後継として作られた、音声を圧縮する方式です。

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