PC-8001(ピーシーハチマルマルイチ)とは、NECが1979年に発売したパソコンで、日本で初めて本格的に普及した量産型のパソコンのことです。電源を入れればすぐにBASICでプログラムを書ける手軽さが受け、「パソコン」という言葉とともに、個人がコンピューターを持つ時代の幕を開けました。
現実世界に例えると、PC-8001はそれまで研究所や会社にしかなかった大型の機械を、家庭の机に置ける大きさにして売り出した、初めての「一家に一台」の家電のようなものです。多くの人が、この機械で初めてコンピューターに触れました。
PC-8001図解
発売までの経緯
生まれた背景です。当時のNECは、技術者向けに部品を組み立てて使う「マイコン」のキットを販売しており、その人気を受けて、組み立て済みですぐに使える製品の開発を進めました。こうして1979年5月に発表され、9月に発売されたのがPC-8001です。キーボードと本体が一体になった形で、テレビやモニターにつないで使いました。
主な仕様
当時の性能です。現在のパソコンとは比べものになりませんが、当時としては家庭で扱える十分な性能を備えていました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売 | 1979年9月 |
| 価格 | 168,000円 |
| CPU | μPD780C-1(Z80互換)4MHz |
| メモリ | 16KB(最大32KB) |
| 内蔵の言語 | N-BASIC |
| 記録の方法 | カセットテープ |
当時のパソコン事情
同じ時代の動きです。米国では1977年ごろに、Apple IIなど家庭向けのパソコンが相次いで登場し、個人がコンピューターを持つ時代が始まっていました。日本でも、シャープや日立製作所などが同じころにパソコンを発売しており、各社が市場を競い合っていました。その中でPC-8001は、使いやすさと価格の手頃さで抜け出し、国内の普及をけん引しました。
電源を入れるとBASICが動く
使い勝手の特徴です。PC-8001は、本体にBASICを内蔵しており、電源を入れるとすぐにプログラムを入力できる画面が表示されました。このBASICは、マイクロソフトの技術をもとに作られた「N-BASIC」です。難しい準備をしなくてもプログラミングを始められたことが、多くの人をコンピューターの世界に引き込みました。
カセットテープに保存した
当時ならではの使い方です。作ったプログラムやデータは、音楽用のカセットテープに音の信号として記録して保存しました。読み込みには数分かかることも珍しくなく、うまく読み込めないこともありました。のちにフロッピーディスクの装置も登場しましたが、高価だったため、長くカセットテープが使われました。
大ヒットとなった理由
普及の背景です。組み立て済みで手頃な価格だったこと、すぐにBASICが使えたこと、NECが販売店や雑誌を通じてソフトウェアの情報を広めたことなどが重なり、PC-8001は大きな人気を集めました。発売から数年で、国内のパソコン市場で大きな割合を占めるまでになり、ソフトウェアを作る会社や、パソコン雑誌も次々と生まれました。
後継機への流れ
その後の歩みです。PC-8001の成功を受けて、NECは1981年にPC-8801、1982年にPC-9801を発売し、それぞれホビー用と仕事用のパソコンとして大きく発展させました。PC-8001自体も、機能を強化したPC-8001mkIIなどの後継機が作られました。PC-8001は、のちに日本のパソコン市場をけん引するNECの「PCシリーズ」の出発点となりました。
歴史的な価値
現在の評価です。PC-8001は、日本のパソコンの歴史を語るうえで欠かせない機種として、情報処理の分野の歴史的な資料を認定する取り組みでも評価されています。この機種でプログラミングを覚え、その後のゲームやソフトウェアの産業を支えた技術者も多く、日本のIT業界の原点の1つといえる存在です。



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