N88-BASIC(エヌハチハチベーシック)とは、NECが1981年に発売したパソコン「PC-8801」に搭載した、BASICというプログラミング言語の処理系のことです。後継の「PC-9801」シリーズにも受け継がれ、1980年代の日本で、パソコンを使ってプログラミングを始めた多くの人にとっての出発点になりました。
現実世界に例えると、N88-BASICは多くの家庭や学校に置かれていた、日本でいちばん読まれた「プログラミングの教科書」のようなものです。同じ教科書で学んだ人が多かったため、雑誌に載ったプログラムを、多くの人が自分のパソコンで試せました。
N88-BASIC図解
電源を入れるとすぐ使えた
当時のパソコンの姿です。当時のパソコンは、電源を入れると、本体に内蔵されたBASICがすぐに起動し、プログラムを入力できる画面が表示されました。今のようにOSやアプリを選んで起動するのではなく、BASICそのものがパソコンの操作の入り口でした。そのため、パソコンを使うことと、プログラムを書くことが、自然に結び付いていました。
機種ごとのBASIC
NECのパソコンと搭載されたBASICの関係です。NECは機種ごとにBASICを改良し、上位の機種へと受け継いでいきました。
| 機種 | 発売 | 搭載したBASIC |
|---|---|---|
| PC-8001 | 1979年 | N-BASIC |
| PC-8801 | 1981年 | N88-BASIC(N-BASICも利用可) |
| PC-9801 | 1982年 | N88-BASIC(86) |
マイクロソフトとの関わり
開発の背景です。N88-BASICは、当時さまざまなパソコン向けにBASICを提供していたマイクロソフトの技術をもとに作られました。マイクロソフトのBASICは、各社のパソコンに少しずつ違う形で搭載されており、N88-BASICはその中でも、日本で最も広く使われたもののひとつです。
行番号で書くプログラム
書き方の特徴です。N88-BASICのプログラムは、「10」「20」のような行番号を先頭に付けた命令を並べて書きます。実行すると、行番号の小さい順に命令が処理され、「GOTO」で指定した行へ飛ぶこともできます。分かりやすい反面、大きなプログラムでは流れが追いにくくなるという面もありました。
絵や音も扱えた
人気を集めた理由です。N88-BASICには、線や円を描く、色を塗る、音を鳴らすといった命令が用意されており、短いプログラムで画面に絵を描いたり、簡単なゲームを作ったりできました。目に見える結果がすぐに得られることが、多くの若者をプログラミングに夢中にさせました。
雑誌のプログラムを打ち込む文化
当時ならではの楽しみ方です。当時のパソコン雑誌には、ゲームなどのプログラムが一覧の形で掲載され、読者はそれを1文字ずつ手で入力して遊びました。打ち間違いを探して直す作業そのものが、プログラムの仕組みを学ぶ機会にもなりました。この経験から技術者の道に進んだ人も少なくありません。
業務でも使われた
趣味以外での活躍です。PC-9801シリーズは企業や学校で広く使われたため、N88-BASICで作られた業務用のプログラムや、教育用の教材も数多く生まれました。計測の機器を制御したり、事務の計算を自動化したりと、専門のソフトウェアが手に入りにくかった時代に、現場の人が自分で道具を作る手段として重宝されました。
今も触れる方法
現在の状況です。N88-BASICを搭載した実機は古くなり入手が難しくなりましたが、昔のパソコンの動きを再現するエミュレーターを使えば、当時の雰囲気を味わうことができます。また、BASICの考え方は、教育向けの言語やVBAなどに受け継がれており、その影響は今も残っています。



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