BASIC(ベーシック)とは、1964年に登場した、プログラミング初心者向けに設計されたプログラミング言語のことです。「Beginner’s All-purpose Symbolic Instruction Code」の頭文字を取った名前で、その名の通り学びやすさを最優先に作られました。
現実世界に例えると、BASICは自転車の補助輪のようなものです。難しい専門用語を覚えなくても、まずは動かしながら、少しずつ本格的な乗り方を身につけられます。
BASIC図解
誕生の背景
生まれた場所は大学の教室でした。アメリカのダートマス大学で、専門家でない学生でも計算機を使えるようにする目的で開発されました。当時のプログラミングは専門知識が必須で、一般の学生には縁遠いものでした。その壁を取り払うために作られた言語です。
文法のやさしさ
覚える命令はごくわずかでした。「PRINT」で表示し、「INPUT」で入力を受け取り、「GOTO」で処理を移す。英語の単語に近い命令をそのまま並べるだけで、簡単なプログラムが書けました。数学記号や複雑な構文を先に覚える必要がなかった点が支持された理由です。
行番号という仕組み
初期のBASICには独特の書き方がありました。各行の先頭に10、20、30という番号を振り、「GOTO 30」のように番号を指定して処理を移動します。行の並び替えが自由にできる利点がある一方、GOTOを多用すると処理の流れを追いにくくなり、後に「スパゲッティコード」と呼ばれる問題の代表例にもなりました。
家庭用パソコンへの普及
広まった最大のきっかけはハードウェアでした。1970年代から80年代にかけて登場した家庭用マイコンの多くに、BASICが標準で内蔵されていました。電源を入れるとBASICの画面が起動し、そのまま入力してプログラムを動かせる機種が主流でした。パソコンとBASICは、この時代ほぼ一体のものとして扱われていました。
機種ごとの方言
広まった裏で問題も生まれました。N88-BASICやApplesoft BASICなど、機種ごとに独自の命令や仕様が加わり、方言と呼べるほどの違いが生じていました。ある機種向けに書いたプログラムが、別の機種ではそのまま動かないことも珍しくありませんでした。
| 名称 | 主な搭載機種 | 特徴 |
|---|---|---|
| N88-BASIC | PC-8801、PC-9801など | NEC製パソコンの標準言語 |
| Applesoft BASIC | Apple II | Apple社製パソコンに搭載 |
| QuickBASIC | MS-DOS機 | 構造化に対応した後継処理系 |
構造化への進化
行番号とGOTOの問題は、後の世代で見直されました。関数や繰り返し構文を整え、行番号に頼らずに書ける構造化BASICが登場し、可読性の高いプログラムが書けるようになりました。QuickBASICなどがその代表で、初期BASICの弱点を克服する試みでした。
教育分野での役割
学びやすさという原点は今も評価されています。プログラミングを初めて学ぶ人向けの教材や授業で、今でもBASIC系の言語や、その考え方を受け継いだ簡易言語が使われることがあります。難しい記法に阻まれず、まず動かして仕組みを理解するという狙いは、誕生当初から変わっていません。
現代言語への継承
血統は途絶えていません。Microsoftが手がけたVisual BasicやVB.NETは、BASICの文法や考え方を土台にしつつ、現代的な開発環境に合わせて大きく作り直された言語です。ただしVB.NETは.NET環境向けの本格的な開発言語であり、初心者向けの学習用言語だった元々のBASICとは、目的も規模も別物と考えたほうが実態に近いです。



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