スパニングツリー(Spanning Tree)

スパニングツリー(Spanning Tree) S

スパニングツリー(Spanning Tree)とは、ネットワークの経路が輪にならないよう、余分な経路をあらかじめ塞いでおく仕組みのことです。塞いだ経路は、使っている経路が切れたときの控えとして自動で開きます。

現実世界に例えると、スパニングツリーは回り道に通行止めの看板を立てておくことのようなものです。ぐるぐる回れてしまう道を封じ、行き先へ一本道で行けるようにします。本道が通れなくなれば、看板を外して迂回路を開きます。

スパニングツリー図解

スパニングツリー(Spanning Tree)

使わない場合との違い

項目 使わない場合 スパニングツリーあり
輪になる配線 そのまま障害になる 自動で塞がれる
経路が切れたとき 人がつなぎ直す 自動で切り替わる
余分な回線 無駄になる 控えとして生きる
設定 不要 必要

なぜ必要なのか

輪になった配線は、そのままでは大きな障害を招きます。全員あての通信が出口を失って回り続け、雪だるま式に増えてネットワーク全体を埋め尽くします。かといって経路を一本だけにすると、そこが切れたときの代わりがありません。この二律背反を解くのが、この仕組みです。

木の形に整理する

名前が考え方を表しています。スイッチどうしのつながりを、輪のない「木」の形に整理するという意味です。幹から枝が分かれるように、どの機器へも一本の道でたどり着ける形にします。輪を作ってしまう枝は、通信を通さない状態にしておきます。

中心となる一台を決める

整理には起点が要ります。参加するスイッチどうしが情報を交換し合い、木の根にあたる一台を選びます。この一台をルートブリッジと呼び、そこからの距離をもとに、どの経路を使いどれを塞ぐかが決まっていきます。

意図した一台を根にする

設計上、見落とせない点です。放っておくと、性能の低い古いスイッチが根に選ばれてしまうことがあります。中心となるべき機器の優先度を手で設定し、意図した構成になるよう仕向けるのが基本です。ここを怠ると、通信が無用な遠回りをします。

切り替えに時間がかかる

古い規格の弱点です。経路が切れてから、塞いでいた経路が使えるようになるまで、数十秒かかることがあります。その間、通信は止まったままです。人の操作より速いとはいえ、いまの感覚では長い待ち時間になります。

改良された規格がある

そこで改良が加えられました。切り替えを数秒程度に短縮したRSTPが、現在は広く使われています。さらに、VLANごとに別の木を作って回線を使い分ける方式もあり、塞いだ経路を遊ばせないための工夫が重ねられています。

いまも必要とされる理由

古い技術に見えますが、外せません。誰かが誤ってケーブルをつなぎ違えたときの、最後の歯止めとして働きます。人が配線する以上、間違いは起こります。設定しておけば、事故がネットワーク全体を巻き込む前に食い止められます。

設定は慎重に

扱いには注意が要ります。設定を誤ると、意図しない経路が塞がれて通信ができなくなることがあります。また、規格の違う機器を混ぜると、うまく協調しない場合もあります。機器をそろえ、構成図を残しておくことが安全につながります。

あわせて知っておきたい用語

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